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カルシウムの吸収

これまで、カルシウムの働きや重要性について紹介してきました。
また、それと同時に食物に含まれるカルシウムは体内では吸収率の悪い栄養素であることもお話ししてきました。

そこで今回は、体内においてカルシウムがどのように吸収されており、その吸収率にはどのような違いがあり、より効率よく吸収にはどうしたらよいかといった「カルシウムの吸収」についてご紹介したいと思います。


◎カルシウムの吸収

食物から摂取したカルシウムは胃で胃酸などによって溶かされ、「Ca2+」と言う形になった(イオン化される)の後、主に小腸で吸収されます。

吸収されたカルシウムは、不足時に備えて骨に蓄えられ、カルシウムが不足してくると骨が壊され(骨吸収)血液中にカルシウムイオン (Ca2+)として放出されます。
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◎食材による吸収率の違い

カルシウムを豊富に含む食物と聞くと、牛乳や小魚、小松菜、納豆など様々なものが思い浮かぶかもしれません。
確かに、どれもその食物自体にはカルシウムが豊富に含まれていますが、食物中のカルシウムは全てが吸収される訳ではなく、未吸収分は尿や便中に排泄されます。

また、それらが体内に入りカルシウムとして吸収される割合(吸収率)は食材によって違います。

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◎カルシウムの吸収率を左右する栄養素

上記からもわかるように、そもそもカルシウム自体体内での吸収率は決して良い栄養素ではないのです。
というのも、カルシウムの吸収は他の栄養素の影響を受けやすいからです。

では、カルシウムの吸収はどのような栄養素や因子によって左右されるのでしょうか。


◆促進因子

マグネシウム……私たちの体内ではカルシウムとマグネシウムが一定の比率を保って存在しています。
そのため、一方の量が少なくなるともう一方の量もその影響を受けて少なくなってしまうため、カルシウムの摂取には同時にマグネシウムの摂取も必要なのです。
(マグネシウムを多く含む食材:海藻類、アーモンド、豆類 など

ビタミンD……小腸でカルシウムが吸収される際にはビタミンDが必要となってくるため、カルシウムが十分でもビタミンDが不足するとカルシウムの吸収は落ちてしまいます。
(ビタミンDを多く含む食材:鮭、鰻、シイタケ、キクラゲ など)


◆阻害因子

リン酸……体内にリン酸が多くあるとカルシウムは、これと結合しリン酸カルシウムとなって小腸から吸収されずに、体外へ排泄されてしまいます。
そのため、リン酸を多く含む加工食品の多用には気をつけましょう。
(リン酸を多く含む食材:玄米、魚卵、タンパク質、加工食品 など)

シュウ酸……リン酸と同様に、シュウ酸もカルシウムと結合しシュウ酸カルシウムとなって小腸から吸収されずに便として排泄されます。
ただし、葉物の野菜は茹でることでシュウ酸を減らすことができます。
(シュウ酸を多く含む食材:葉物の野菜、たけのこ、紅茶、コーヒー など)

フィチン酸……フィチン酸はカルシウムや鉄、銅、亜鉛などの必須ミネラルと結びつきやすいため、体内でのミネラルの吸収を阻害します。
(フィチン酸を多く含む食材:米ぬか、小麦、豆類 など)

大量の食物繊維……大量の食物繊維はカルシウムだけでなく、鉄や亜鉛などミネラル全体の吸収を阻害するリスクがあるため、食べ過ぎには注意しましょう。(適度な量の食物繊維は問題ありません。)


このように、様々な栄養素によってカルシウムの吸収率は左右されるため、それらを同時に含んでいる食材や、食べ合わせによって大きく影響を受けます。


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