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プラセンタはなぜターンオーバーに効果があるの?プラセンタ化粧水を選ぶ際のポイントや注意点についても解説!

プラセンタはなぜターンオーバーに効果があるの?プラセンタ化粧水を選ぶ際のポイントや注意点についても解説!

「美肌」とよばれる肌になるためにはさまざまな条件が必要です。
その1つが「ターンオーバー」が正常であることです。
化粧品や美容ドリンクなどによく配合されているプラセンタは、ターンオーバーの乱れを整える効果が期待できます。
本記事では、なぜプラセンタがターンオーバーの乱れに効果があるのかを解説します。
また、効果的なプラセンタの取り入れ方も紹介するので、ぜひ参考にしてターンオーバーを整えましょう。

ターンオーバーとは?

日常生活で「ターンオーバー」という言葉を見聞きする機会は多いと思いますが、ターンオーバーがなにかよく分からないという方もいるでしょう。
ターンオーバーのことをきちんと理解しておくことで、美容情報に触れた際にターンオーバーについて理解しやすくなるでしょう。

ターンオーバーのメカニズム

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皮膚は筋肉に近い内側から、「皮下組織」「真皮」「表皮」の三層で成り立っています。
表皮は「基底層」「有棘層(ゆうきょくそう)」「顆粒層」「角質層」の4層から成り、基底層で新しい細胞が産生されます。
これらの新しい細胞は徐々に表面に押しあげられ、垢として剥がれ落ちます。
このプロセスを「ターンオーバー」といいます。
ターンオーバーは肌の新陳代謝のこと。美しく若々しい肌をキープするにはターンオーバーが正常に巡ることが必要です。
また、肌の表層の角質は様々な刺激から肌を守って水分を保持するバリア機能を担っています。角質の機能はターンオーバーが乱れると低下するため、整ったターンオーバーは刺激から肌を守ってくれる働きも担っているのです。
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 顔の皮膚でのターンオーバーの周期はおよそ28日程度です。
基底層から顆粒層になるまで14日、その後角質となって剥がれ落ちるまで14日といわれています。
ターンオーバーの周期は早すぎても遅すぎても良くありません。
ターンオーバーが遅いと古い角質がいつまでも肌に残ってしまい、これを繰り返すとニキビ、シミ、シワへと繋がってしまいます。
逆に早いと、未成長で3つの保湿因子が十分に作られないまま角化が進み、外的刺激に弱い肌になってしまいます。
3つの保湿因子とは「NMF(天然保湿因子)」「細胞間脂質」「皮脂膜」のことであり、肌のうるおいを保つためには、これら3つの保湿因子がそれぞれの役割を果たすことが重要です。

ターンオーバーの乱れの原因

ターンオーバーの周期を乱す原因として、次のようなことが挙げられます。

加齢によるターンオーバーの乱れ
ターンオーバーの周期は年齢と共に遅くなり、40代になると40日以上になるといわれています。
シミが増えたように感じたり、肌荒れの治りが遅くなったりするのは、ターンオーバーの周期が遅くなることが原因です。

不適切なスキンケアによるターンオーバーの乱れ
洗顔やクレンジングが十分でないと、本来はがれ落ちるはずの角質細胞が肌にとどまってしまいます。
逆に洗いすぎや過度のピーリングは必要以上に角質をとってしまうため、修復しようとしてターンオーバーを早めてしまう恐れがあります。
また、摩擦刺激から肌を守ろうと角質が硬くなるため、タオルや指で力を入れて擦るのはよくありません。
優しく撫でるように肌に触れるようにしましょう。

生活習慣やストレスによるターンオーバーの乱れ
生活習慣もターンオーバーの乱れを引き起こします。
睡眠中には美しい肌をキープするために大切な成長ホルモンが分泌されます。
成長ホルモンは肌のターンオーバーを促す働きがあるとされています。
そのため、ターンオーバーを整えるには睡眠時間を十分確保し、質の良い睡眠が大切なのです。
また、栄養バランスの偏りや過度なダイエット、タバコ、アルコール、さらにストレスも肌の老化を引き起こす活性酸素の産生を増やし、ターンオーバーの乱れを引き起こします。

紫外線や乾燥によるターンオーバーの乱れ
紫外線や乾燥などの外的要因によるダメージも、ターンオーバーの乱れに繋がる原因です。
細胞は大きなダメージを受けると、これを修復しようとターンオーバーを早めます。

ターンオーバーの乱れ以外にも肌荒れの原因が

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ターンオーバー以外に、肌のバリア機能の低下も肌荒れの一因です。
肌のバリア機能が低下すると、表皮で保たれていた水分が蒸発し乾燥した状態になります。
バリア機能の低下によって、花粉や紫外線などの外部刺激から肌を守れず肌荒れやシミの原因となります。
また、更年期で女性ホルモン(エストロゲン)が減少することで肌荒れを起こすこともあります。
このエストロゲンは、コラーゲンの合成を促進し、肌にうるおいや弾力を与える働きをします。
そのため更年期になると、乾燥など肌荒れを起こすことも多くなるでしょう。

プラセンタってよく聞くけど何?

プラセンタとは胎盤を意味します。
通常、化粧品やドリンク、サプリメントなどには、ヒトやそのほかの哺乳動物の胎盤から抽出したプラセンタを配合しています。
本項ではプラセンタについて解説していきます。

プラセンタの種類

プラセンタにはさまざまな種類があり、大きく分けて「動物性プラセンタ」と「植物性プラセンタ」の2種類があります。
また「海洋性プラセンタ」と呼ばれているものもあります。

動物性プラセンタ
その名の通り、ヒト・豚・馬・羊などの動物の胎盤から抽出したプラセンタが、動物性プラセンタです。
豚は日本国内で多く飼育されており安全で、さらにほかの動物に比べて胎盤が入手しやすいため、美容目的では豚プラセンタが主流となっています。
化粧品やサプリメント、ドリンク、医薬品など幅広く使用されています。
それに対して馬の胎盤は流通量が少ないため高価です。
馬プラセンタのアミノ酸含有量は、豚プラセンタの300倍程もあるといわれているため、サプリメントやドリンクなどの経口用として使用されています。
また、羊プラセンタはヨーロッパやアメリカでは人気がありますが、日本ではほとんど流通していません。
ヒトプラセンタは、医療機関でのみしか使用が認められていません。

海洋性プラセンタ
魚類由来のものも「海洋性プラセンタ」として使用されています。
ただし、魚類には胎盤がないため正式にはプラセンタではなく、魚卵を包んでいる卵巣膜から抽出したものをさします。
海洋性プラセンタも卵を成長させるため栄養面は豊富ですが、哺乳動物のプラセンタとは若干異なります。
後述する「プラセンタの成分」を参考にしてください。

植物性プラセンタ
植物にも胎盤がないため、植物由来のプラセンタも正式にはプラセンタではありません。
植物の胎座という部分から抽出したものを「植物性プラセンタ」と呼んでいます。
植物性プラセンタも植物の種を成長させるため栄養は豊富です。
しかし海洋性プラセンタと同様、哺乳動物のプラセンタとは若干異なるため、後述する「プラセンタの成分」を参考にしてください。

プラセンタの成分

プラセンタの大きな特徴はその栄養の豊富さです。
胎盤には赤ちゃんの成長に必要な栄養が豊富に含まれており、以下の栄養素が肌にとって重要な美容成分となります。
栄養素 働きや特徴
酵素 古い細胞を新しく生まれ変わらせる
ミネラル ・ナトリウム・マグネシウム・カルシウムなど
・5大栄養素の1つで健康維持のために不可欠
ビタミン ・美肌効果に期待
・身体では作れないため外から摂取の必要あり
アミノ酸 ・肌のターンオーバーを促す
・アミノ酸単体のため吸収されやすい
核酸 ・新陳代謝の調整
・老化対策
成長因子
(グロースファクター)
・海洋性プラセンタ、植物性プラセンタには含まれていない
・成長ホルモン、細胞分裂を活性化
・健康で若々しい肌をサポート


なぜプラセンタがターンオーバーの乱れや肌荒れに効果的なのか

なぜプラセンタがターンオーバーや肌荒れに効果があるのでしょうか。
本項では、豊富な栄養をもつプラセンタが、肌に対してどのように効果を発揮するのか解説します。

なぜプラセンタがターンオーバーの乱れや肌荒れに効果的なの?

まず、ターンオーバーの乱れや肌荒れにどのような効果を発揮するのかについて解説します。

ターンオーバーを正常化
先程解説したように、ターンオーバーが乱れると肌荒れを起こします。
プラセンタに含まれる成長因子が細胞分裂を活性化することで、ターンオーバーの乱れを整える効果が期待できます。
成長因子のなかでも特に上皮細胞増殖因子(EGF)には、新しい細胞の生成を促しターンオーバーを促進させる効果があるといわれています。

肌の弾力やハリをサポート
表皮の奥の真皮層には線維芽細胞が存在しています。
線維芽細胞にはコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を生成する働きがあります。
コラーゲンやエラスチンは肌の弾力やハリを作り出し、ヒアルロン酸には肌の水分を保つ働きがあります。
プラセンタには線維芽細胞増殖因子(FGF)が含まれており、肌の弾力やハリをサポートする効果があります。

ホルモンバランスを整えて肌荒れ改善
プラセンタには、ホルモンバランスの乱れを正常に近づける効果があるといわれています。
更年期に女性ホルモン(エストロゲン)が減少することも肌荒れの原因の1つです。
プラセンタは厚生労働省から医薬品として認可されており、更年期のホルモンバランスを整えることで肌荒れ改善にも期待できます。

そのほかのプラセンタの効果

続いてそのほかのプラセンタの効果を解説します。

血行促進作用
プラセンタに含まれる肝細胞増殖因子(HGF)には、細胞の増殖を活性化し血行を促す作用があります。
血行が悪くなると細胞に栄養が行き届かず細胞が衰える原因になります。 プラセンタは血行を促進することで、新しい細胞を作りやすくし、体のすみずみまで栄養を届け、ターンオーバーを助けます。

抗酸化作用
プラセンタは抗酸化作用や活性酸素除去作用を持っています。
老化の原因として知られている活性酸素は、ヒトの細胞にとって必要なものですが過剰に発生すると、老化を引き起こします。
その結果、シミを誘発させたり、コラーゲンへダメージを与えてシワやたるみなど肌老化を進めたりしてしまいます。
プラセンタは抗酸化作用を持つことで活性酸素の生成を抑えるため、肌の老化に対する効果が期待できます。

抗炎症作用
プラセンタには抗炎症作用もあります。
炎症は本来、肌の組織を修復する免疫システムのことです。
しかし、実際には炎症が起こることで、結果として肌が赤みや熱を帯びてしまいます。
プラセンタは抗炎症作用があるといわれているため、ニキビの赤みや炎症を抑えたり、壊れた組織を修復したりする効果が期待できます。

チロシナーゼ活性阻害
プラセンタは、メラニン生成の要因であるチロシナーゼの活性を阻害します。
チロシナーゼは有棘層にあるメラノサイトに存在する酵素で、シミの元となるメラニン色素の合成を促す働きがあります。
プラセンタはこのチロシナーゼの働きを阻害してメラニンの生成を邪魔することで、紫外線や摩擦などの刺激によって引き起こされるシミを予防する効果を発揮するのです。
またプラセンタにはターンオーバーを助ける効果があるため、できてしまったメラニンを効率良く排出して、シミを残しにくくする効果も期待できます。

DHICA重合阻害
プラセンタのDHICA(ジヒドロキシインドールカルボン酸)重合阻害も効果的です。
チロシンがチロシナーゼの助けを借りて反応が進んでしまったとしても、さらにDHICAの助けを借りなければ、黒や茶のメラニンには変化しません。
プラセンタにはこのDHICAの重合を阻害する働きがあるため、シミを防ぐ効果があります。

プラセンタ化粧水を選ぶときのポイント

プラセンタを取り入れる方法には、次の3つの方法があります。

● 化粧品で塗って取り入れる
● サプリメントやドリンクなどを飲んで取り入れる
● クリニックで注射を受けて取り入れる

ここでは手軽に実行しやすい化粧品(化粧水)で取り入れる際のポイントを解説します。
安全に、かつ効果的に取り入れるための参考にしてください。

医薬部外品を選ぼう

プラセンタとしての効果を期待したいのであれば、医薬部外品の化粧水(薬用化粧水)を選びましょう。
さらに、有効成分としてプラセンタと表示されている化粧水を選びましょう。
医薬部外品は、「厚生労働省が有効だと認めた成分が、一定の濃度で配合」されたものです。
プラセンタは医薬部外品の美白有効成分として、厚生労働省の認可を受けています。
さらに医薬部外品は、「この有効成分とほかの成分を組み合わせて安全な前例がある」ものしか承認されないため、安全面でも安心して使用できます。
効果でも安全面でも安心できる医薬部外品の化粧水をおすすめします。

プラセンタの種類を確認しよう

どの種類のプラセンタが配合されているかチェックしましょう。
プラセンタにはさまざまな種類がありますが、成長因子の含まれている豚や馬のプラセンタがおすすめです。
現在、医薬部外品ではプラセンタは「プラセンタエキス(1)」~「プラセンタエキス(3)」、「水溶性プラセンタエキス」と表示されていますが、これらはいずれも豚プラセンタです。
植物性プラセンタは本来プラセンタではないため、「○○胎座培養エキス」、同じく海洋性プラセンタは「○○卵巣膜エキス」のような表示になっています。

ほかの美容成分をチェックしよう

化粧水を使用する以上、プラセンタだけではなくそのほかの成分にも気をつけましょう。
自分が過去にアレルギーを起こした成分が入っていないかのチェックはもちろんですが、プラセンタ効果以外に何をプラスα効果として挙げているかに注目しましょう。
プラセンタ以外にエイジングケア*成分が配合されている化粧水がおすすめです。
エイジングケア*成分としておすすめの成分は以下の成分です。

● ナイアシンアミド
● アスタキサンチン
● フラーレン
● ビタミンC誘導体
● レチノール

これらはほんの一例のため、お気に入りの成分があればその成分が配合された化粧水を選んでください。
*エイジングケアとは年齢に応じた化粧品などによるケアのことです。
 

まとめ

プラセンタは肌のターンオーバーの乱れを整え、肌の弾力やハリを保ち、肌荒れも改善してくれます。
また、更年期や加齢による肌変化にも効果が期待できます。
ターンオーバーの乱れが気になっている方だけではなく、若い方が取り入れることで若々しい肌を保つことができます。
肌悩みがある方も、若々しさを保ちたい方も、ぜひ本記事を参考にプラセンタを取り入れましょう。

監修者

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成田亜希子
2011年医師免許取得。総合診療医として研鑽を積み、現在は美容系クリニックで統括医師と勤める。
日々、美容に悩む患者さんの診療に従事しており、シミやシワ、薄毛を予防することの重要性を説いている。
また、医療行政に携わっていた経験もあり地域住民の健康課題を抽出し、健康寿命増進政策に深く関わっていた。
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