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カルシウムと骨の男女差

カルシウムと骨の男女差

カルシウムは骨や歯の材料となるだけでなく、筋肉の収縮、止血、細胞間の情報伝達に作用するなど、年齢や性別を問わず人間にとって非常に重要な栄養素です。

しかし、その必要量や重要性の意味は年齢・性別によって大きく異なってきます。
一般的にカルシウムの必要量は、骨が活発に作られる成長期がピークとなり、その後は、骨量は一定もしくは減少していくため、カルシウムの必要量も減少していきます。

しかし、成長期以降もカルシウムの必要量や重要性が高まる場面はいくつもあります。
今回は、成人期以降の女性と男性におけるカルシウムの重要性について詳しくご紹介したいと思います。


◎女性のカルシウムと骨

女性は生きていく中で妊娠、出産、更年期といった多くのライフイベントがあり、それらに伴って体も大きく変化していきます。
女性の成人期以降のカルシウムの重要性も、まさにこれらのイベントによって高まっていきます。

<妊娠・出産>
カルシウムは妊娠・出産・育児期の母子の健康と、胎児(赤ちゃん)の発達や成長に欠かせない栄養素であり、その必要量もこの時期に高まります。
特にカルシウムにおいては、産後の授乳期に不足すると一時的にお母さんの骨量が大きく減少し骨粗鬆症などのリスクが上がるため、不足がないように注意が必要です。

<更年期>
女性においては更年期(閉経前後)以降、骨密度を維持する働きのあるエストロゲン(女性ホルモン)が大幅に減少するため骨密度が減少します。
それと同時に、加齢に伴ってカルシウムの吸収も低下するため、更年期以降は骨粗鬆症のリスクが高まります。
この時期に、カルシウムの摂取量自体が不足するとさらに大きなリスクへと繋がります。

*更年期に注目されるのが、大豆製品に含まれる大豆イソフラボンの摂取です。
大豆イソフラボンは、エストロゲン(女性ホルモン)と似た働きを持ち、破骨細胞(古くなった骨を壊す細胞)による骨からのカルシウム溶出を抑えてくれる効果があります。


◎男性のカルシウムと骨

男性では、ストレスや食習慣の乱れによりカルシウム摂取量が極端に少ない人も多いことに加えて、加齢に伴い(60歳以降)カルシウム吸収も徐々に低下します。
それだけでなく、喫煙、飲酒、生活習慣病などにより骨粗鬆症のリスクが増えるなど、成人期以降においてもカルシウムの重要性は高まります。

また、カルシウムは骨粗鬆症の予防だけでなく、男性の癌の罹患数で首位を争う「大腸癌」の予防にも有効であるという研究報告もあります。(男性の大腸癌罹患数は女性の約1.5倍も多い)

このため、男性だからといって「骨粗鬆症になりにくい!」「カルシウムは十分だ!」と安心することはできませんし、女性と同様に普段からのカルシウム摂取と整った食事は重要になってきます。
特に男性では、仕事などが忙しく自分で料理する機会が少ない人も多いため、外食や中食においてカルシウムを摂取しやすい食材や、栄養素の組み合わせを知っておくと便利です。


◆外⾷・中⾷におけるカルシウム摂取のポイント

  • ・牛乳、チーズなどの吸収率の良い食材を間食などに選ぶ。
  • ・小魚や海藻、野菜などカルシウムが豊富でありながら吸収率が低い食材は、有機酸(酢、レモン など)やビタミンD(魚類、卵、キノコ類 など)によって吸収率が高くなるため、食材の組み合わせを意識する。
  • ・加工品に多く含まれるリンはカルシウム吸収を阻害するため、インスタント食品やファストフードなどの頻度が多くならないようにする。
  • ・過剰なアルコールやカフェインはカルシウム吸収を阻害するため注意する。
  • ・食塩はカルシウム吸収を阻害するため、味付けの濃いものばかりでなく、サラダやスープなど素材の味がするものも選ぶ。

⼥性と男性ではこのように体の変化や状況は違いますが、成⼈期以降もカルシウムの重要性が⾼まることに違いはなく、⽇頃からカルシウムを意識した⾷事を整えていくことが⼤切になってきます。


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