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カルシウムの働きと各年代での必要性

カルシウムの働きと各年代での必要性

カルシウムは骨を作るだけでなく、血液にのって全身に運ばれ心臓や筋肉の収縮を司り、体内のイオンバランスや細胞の浸透圧を正常に保つなど、生きていく上で欠かせない重要な働きをしています。

そのため、カルシウムが不足すると骨だけでなく、体の様々な組織においてもトラブルが起こります。


今回は、カルシウム不足が引き起こす疾病リスクと、各年代(特に高齢期における)におけるカルシウムの必要性についてご紹介します。



◎カルシウムパラドックス

カルシウムの摂取が不足すると、血液中のカルシウム濃度も低下します。
全身に運ばれているカルシウムの量が減ると私たちは生きていけないため、これに対して、体は骨に貯めてあるカルシウムを溶かして血液中に送り、各細胞へとカルシウムを運びます。

この時分泌されるホルモンの関係で、普段閉まっているはずの細胞上のカルシウムの通り道が開いた状態となり、細胞内に多くのカルシウムが流れ込んでしまいます。

それにより、カルシウムが不足しているにも関わらず細胞内のカルシウムは増えている状態(カルシウムパラドクス)が引き起こされます。

その結果、細胞内のカルシウムバランスが崩れ、ホルモン分泌の異常などが起こります。
また、この状態が長期間続くと骨粗鬆症だけでなく、血管などにカルシウムがたまり動脈硬化や高血圧などの様々な疾病リスクが生じます。


◎カルシウムの必要性

年代別のカルシウムの摂取量については、骨量の貯め時である12〜20歳においての十分量のカルシウム摂取が特に重要であることは、これまでもご紹介してきました。

特に骨の成長が著しい成長期においては、十分な量のカルシウム摂取がその後の成長や骨密度に大きく影響してくるため、この時期のカルシウム摂取は極めて重要です。

厚生労働省が定めている「日本人の食事摂取基準」においても、特に12~14歳の成長期で最も多くのカルシウム摂取が推奨されています。

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しかし、それ以降の年代においても骨の状態の変化や生活習慣などからカルシウムの重要性が増してきます。

女性においては閉経前後から骨密度を維持する働きのあるエストロゲン(女性ホルモン)が大幅に減少することで骨密度が減少します。
それと同時に、加齢に伴ってカルシウムの吸収も低下するため、女性の更年期以降のカルシウム摂取は極めて重要なものになってきます。

一方、男性においても60歳以降ではカルシウム吸収が徐々に低下します。
これに加えて、男性では喫煙や、飲酒により骨の健康が害されたり、生活習慣病による骨粗鬆症への影響などのリスクが増えるため、男性だからといって「骨は強い!」、「カルシウムは十分だ!」と安心することはできません。

また、男性の骨粗鬆症による骨折などは女性より頻度は多くないものの、その予後が悪いと言われています。
そのため、男性であっても女性と同様に高齢期におけるカルシウム摂取は重要になってきます。


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