COLUMN
コラム

更年期 〜変化する体と付き合う工夫〜

更年期 〜変化する体と付き合う工夫〜

女性であれば、多くの人が「更年期」という時期を過ごします。更年期と聞くと、体や心のバランスが崩れる、様々な症状に悩まされるといったネガティブなイメージが付いてまわります。しかし、更年期とは加齢に伴った残念な時期ではなく、女性の次のライフステージへと繋がる重要な体の変化を遂げる時期ではないでしょうか。
もちろん、不安や心配はありますがまずは更年期について正しく知ることが、この時期にむかえる体や心の変化を恐れずに、上手に付き合っていくための第一歩になると思います。
 

◎更年期とは?

女性は加齢と共に50歳前後で月経が止まる「閉経」を迎えますが、その閉経の前後5年ほどを「更年期」と呼びます。
そもそも、月経とは卵巣(女性の子宮の両脇に1つずつ存在する生殖器官)の中にある卵胞(卵子の元)が成熟して卵子となり排出(排卵)された後、受精が成立しない場合に子宮内膜が剥がれ落ちることで起こる現象です。この一連の現象を起こすのが女性ホルモンです。更年期には、これまで正常に月経を行うために働いてきた卵巣の機能が加齢により低下するのに伴い、様々な症状が出てきます。
 

◎更年期症状・障害

更年期にみられる症状の中で他の病気が原因でないものを「更年期症状」と呼び、さらに症状が重く普段の生活に支障をきたすものを「更年期障害」と呼びます。以下のような様々な症状がみられます。
 

血管運動神経症状……ほてり、のぼせ、発汗 など

更年期の女性ホルモンの減少に伴い、自律神経も乱れやすくなります。その結果、発汗やほてり、のぼせなど自律神経にまつわる症状が表れます。自律神経は、適度な運動、良質な睡眠、そしてバランスのとれた食事によって整いやすくなるため、この時期は生活の質を意識して過ごすことが重要です。
 

その他の身体症状……太る、頭痛、肩こり、冷え、しびれ、倦怠感 など

更年期には代謝が落ちるため、太りやすくなると感じる場合も多いです。また、水分の代謝が悪くなり血流が停滞することによって、冷えやむくみ、倦怠感などの症状が出やすくなります。食事ではゆっくり噛んで食べることで血流量の増進や食べ過ぎ防止、自律神経を整えるなどの働きが期待できます。また、代謝を上げて体を温める食材(生姜、ニンニク、ねぎ、かぼちゃ、唐辛子 など)を摂ることも意識してみてください。
 

精神症状……イライラ、意欲低下、情緒不安定、不眠 など

女性ホルモンの一つである「エストロゲン」というホルモンは、リラックスした時に優位になる副交感神経の働きを活発にさせます。しかし、更年期になるとこのエストロゲンの分泌が減少してくるため、心のバランスも崩れやすくなります。そういった時には、リラックス作用のある食べ物から元気をもらうこともおすすめです。

緑茶 …… 緑茶の旨み成分であるテアニンは交感神経を抑制しリラックス効果をもたらす
ハーブティー …… カモミール、ジャスミン、ラベンダーなどの香りは副交感神経を活発にし、リラックス効果をもたらす
トマト …… トマトや発酵食品に豊富に含まれるGABAは副交感神経を活発にする効果が期待される
ココア …… ココアの苦味成分であるテオブロミンは、脳の疲れを癒し心を整えるホルモンであるセロトニンを増加させることでリラックス効果をもたらす


度合いや症状は様々ですが、多くの方がこれまでと違った体と心の状態に戸惑いや辛さを抱えてしまいます。これらは生きていくうえでの生理現象の一つとして体に現れた変化の一つですので、できるだけ上手に付き合っていきたいものです。そこで、毎日の生活の中でできることの一つが食事ではないでしょうか。ほてりやのぼせなどの症状にアプローチするだけでなく、大きな原因となる自律神経の乱れを整える食事と生活を心がけることが、更年期を前向きに乗り切るきっかけになればと思います。

トップへ戻る ▲